しかくかんけい!
男女ふたりでホテル、の意味はわかるのに、
男の家にふたりきり、の意味はわからない?
「あーもう、ハナってそら泣かせだ」
「い、意味わかんないっ」
はあ、と足元へ息を落とせば、さら、と胸元へ髪が落ちる。
「まあいいわ。……それで、どうしようもなく哀しくなった私は、そんなに好きなら手を出せば? って返した」
「手を?」
「うん。つまり、犯しちゃえってこと」
「っ……!!」
丸くなる目。
もう何度目だろう、その目力を見るのは。
「ちょ、ちょっと待って?じゃあそらくんは愛莉に、私のこと好きってカミングアウトしたの?」
「ええ、美術の授業のとき、ここで。まあ言われなくてもわかっていたけどね」
「そ、そんな……それなのに私……」
ああ、そっか。
ハナと喧嘩したのも、その日だ。
残酷な秋のひとときだったな、なんて。
顔周りの邪魔な髪を振り払い、忘れたい記憶を、ひとつひとつ、たどった。