しかくかんけい!
変わるベクトル
……────ネオンが煌めく夜の街。
煌めく、だなんて。
そんな美しい風景でも気分でもないけれど。
散々泣き腫らした私は、再び、さまよった。
子どもみたいだな、と思った。
「はは……っ」
思って、乾いた嗤い声は地面に吸い込まれ、消えた。
立ち止まって、スマホを握りしめる。
黒い画面が、嘲笑う。
そらとのやり取りを、思い出す。
数時間前。
〔やばい〕
そんな叫びを、スマホの電子音が通知した。
〔どうしたの?〕
〔我慢できないから、来てほしい〕
〔なにが?どこに?〕
〔ハナが、俺の家〕
目を疑った。
何度こすっても、見間違えなかった。
〔どういう状況なの〕
心はざわついているのに、画面上では冷静を装う。
あなたの前では、大人でいたいから。
〔ハナが、泣いている〕
〔ごめん、きっとそれ私のせい〕
〔うん。だから3人でケーキを食べよう〕
〔今は無理。喧嘩してるの〕