しかくかんけい!


そういえばもうすぐクリスマスか……

とこの瞬間に考えられる私は装った冷静をちゃっかり着こなしているんだな、と呆れる。


そんな私をよそに、スマホは震える。



〔だから、話し合って解決しよう〕

〔そんなに簡単な問題じゃない〕

〔お願い、来て。ただでさえ好きが止まらないのに、泣かれると我慢できない〕



ああ。

なんて、残酷な、あなた。


その言葉がどれだけ私の心を握り潰しているのかなんて、知らないのよね、あなたは。


着こなした冷静はだんだんシワだらけになる。


みるみる込み上げる、激痛と悲憤。


震える指で、文字を綴る。



〔そんなに好きなら手を出せば?〕



ああ。

なんて、残酷な、私。


その言葉がどれだけ自分の心を握り潰しているのかなんて、知っているのにね、私は。


自分をナイフで殴っているような感覚だった。

シワだらけになった冷静をビリビリに裂いて、裂いて、ボロボロにする。

原形をなくしたそれは、私とともに崩れ落ちた。






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