しかくかんけい!



慣れた様子で無人フロントを通過し密室のお城へと導く、あなたの大きな手。

ぼんやりと妖しい光を放つシャンデリアが、私たちを迎え入れる。


ベッドへと進む背中を、ぼうっと眺める。

あなたは腰掛け、右手を差し伸べ、とてもとても、やさしく微笑む。


「おいで?」


もう、何もかも、どうでもよかった。

とにかくこの寂しさを、哀しさを、寒さを、今すぐ紛らわせてほしかった。


あなたのもとへ、そうっと、身を寄せる。

手を伸ばして、そうっと、触れる。


つめたい、と思った刹那。


 ぐいっと引かれる。

ぐるりと世界が揺れる。

 どさりと身が沈む。

シャンデリアと目が合う。

 すぐにあなたの顔が遮る。

じっと見つめ合う。

 やさしくおでこを撫でられる。

愛おしそうに目を細める。

 その隙間に私が映る。

縋りつくような顔をしている。

 ゆっくりと降ってくる。

熱が近づく。

 甘い薫りが鼻をつく。

それは喉を刺激する。

 目の奥から込み上げる。

視界が歪む。

 目尻を、伝う


「そら……」


涙。












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