しかくかんけい!
時が止まった。
「…………」
「…………」
沈黙の中、透明の液体だけが、
無邪気にころがる。
「……やーめた」
熱が離れて、きしむベッド。
私を覆っていた彼は隣で大の字になる。
「むり。萎えた」
「……っ」
「いくら俺でもさすがにこたえる」
いやーあの女の言うこと今理解できたわー、とか何とかぼやく彼は身を起こして、両手のひらをシーツにつけ天井を見上げる。
「……ご、ごめんなさい、私っ……」
「ははっ。それ誰に対しての謝罪?」
軽い調子で放たれたその声がシャンデリアから跳ね返って異様に重たく耳の穴に落ちる。
はっとする。
温度が感じ取れるくらいにこの液体は自分の存在を主張した。
このあたたかい涙は一体、
誰に対して、
何のために、
流れているのか。