しかくかんけい!


ここにいる冷たい手をした彼の期待に応えられなかったから?

ハナの好きな人の好きな人は私で申し訳なく思ったから?

仲直りさせるための機会をくれたそらの善意を否定したから?


どれも違って、どれも正解だった。


でもそれ以上に、謝りたい人。

目的ばかりに囚われて、見失っていたもの。


「自分、かもしれない」


この、わたし。


「ん?……ああ、自分、?」


私も起き上がり、彼と同じ目線になる。


「私は私に、謝った」


ふうん、と短い抑揚を響かせたら、興味深そうに私を見て、問う。


「……なんで?」


彼の熱っぽい(ひとみ)に映った私の顔は、


「こんなに傷付いて、かわいそうだから」


とてもとても、傷だらけだった。


「くくっ……自分で言うんだ?」

「映っていたんだもの、あなたの瞳に」


しがみつきたくてしかたがない。

もうたえられない。

はやくこの傷をいやしてほしい。


そう訴えていた。



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