しかくかんけい!
ここにいる冷たい手をした彼の期待に応えられなかったから?
ハナの好きな人の好きな人は私で申し訳なく思ったから?
仲直りさせるための機会をくれたそらの善意を否定したから?
どれも違って、どれも正解だった。
でもそれ以上に、謝りたい人。
目的ばかりに囚われて、見失っていたもの。
「自分、かもしれない」
この、わたし。
「ん?……ああ、自分、?」
私も起き上がり、彼と同じ目線になる。
「私は私に、謝った」
ふうん、と短い抑揚を響かせたら、興味深そうに私を見て、問う。
「……なんで?」
彼の熱っぽい鏡に映った私の顔は、
「こんなに傷付いて、かわいそうだから」
とてもとても、傷だらけだった。
「くくっ……自分で言うんだ?」
「映っていたんだもの、あなたの瞳に」
しがみつきたくてしかたがない。
もうたえられない。
はやくこの傷をいやしてほしい。
そう訴えていた。