しかくかんけい!
「ほら、あそこのドアから渡り廊下出たら西棟だよ」
そう言って背の高いイケメンはわざわざ私と同じ目線になってその方向を指さして。
見える?とこちらを向く顔は至近距離で、ガムでも噛んでいるのかな、ミントの爽やかな香りがして。
「いい匂い……」
「え?」
思わず口走ってしまった感想にイケメンは首を傾げる。
「あっ、な、なんでもありません!」
そう叫んで、さっと君から離れた。
一瞬びっくりしたような顔をしたイケメンはくすっとひとつ笑みをこぼし、手を差し出して。
「案内しようか、お嬢さん?」
そう言って、にっこり笑った。
キラキラという効果音と、赤いバラのエフェクトが見えた。
それはまるで、おとぎ話に出てくる、
王子様。
「あ…」
うっとりする私の目を、じっと見つめる君。
心のドキドキまで見透かされそうな、澄んだ虹彩。
その瞳があまりに綺麗すぎて耐えられなくなった私は、
「あ、り、が、と、う、!」
とめだかのようにパクパクして、かもめのように飛び去った。