しかくかんけい!
「ほんとだ!さすが愛莉、ありがと〜」
「いえいえ」
このときは特に何とも思っていなかった。
ただハナが音楽室に置き忘れたフルートを誰かが見つけて、邪魔だから移動させただけなんだろうな、と。
しかし、それは始まっていた。
歪んだ歯車はすでに、キシキシと不吉な音を鳴らして、回り始めていたんだ。
その日からハナは、
よく身の周りの物を失くすようになった。
いや、違う。
隠されるようになった、が正しいか。
音楽の教科書、いつも部活で使っているペン、楽譜をとめるクリップ。
どれもこれも、吹部である彼女を罵るようなものばかり。
原因は明らかだった。
「ハナちゃんって最近よくしょーくんと一緒にいるよね〜」
笑顔を前面に貼り付けてそう話しかけてくるのは、クラスのリーダー格的な存在の女子。
「そうかなあ?まあ、最近はよくお話するけど……」