しかくかんけい!



「そのきっかけ作ってくれた愛莉に、いーっぱい感謝してるっ! 私、今すっごい楽しいよ!」

「……ハナ、」

「だから無理なんてしてないよ。
 ソロコンだって初めてこんなに夢中になるものができて、それを応援してくれる親友がいるって、すごく嬉しいの。だから、だからね、」

「わかった、から、苦しいっ」


あまりに力強く抱き締めるから、胸が押しつぶされそう。物理的に。


「わわっ、ごめんね!つい熱くなって…」

「いいわ、大丈夫」


じゃあ練習しよっか、と言ってフルートを組み立てる。

今が楽しいと語ったハナ。

多少の懸念はあるものの、それを聞いて少し安堵する。


「明日から部活はテスト休みに入るから、いっぱい自主練できるね♪」

「勉強もちゃんとしなよ」

「まあ、最初のテストだし?」

「油断禁物よ」






油断したのは私のほうかもしれない。


このときは気づかなかった。


彼女の気持ちも、

彼の想いも、

あの子たちの囁きも。




全部全部、雨の音にかき消されていたんだ。





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