しかくかんけい!
でも音楽室に着いて少し冷静になったとき、ふと後悔したんだ。
「……名前、聞けばよかった」
誰一人知り合いがいない中。
初めて話したのがこんなに親切でかっこいいなんて、まるで夢みたいなのに。
でも、君は案外近くにいた。
隣のクラスだって知って、うれしすぎて飛び跳ねた。
移動教室とか他クラス合同授業とかあるたびわくわくした。
君を見かけると胸が高鳴って、世界がキラキラして見えて。
知り合いがいない高校生活への不安はいつの間にか消えていて。
君がこの壁の向こうにいるってだけで、毎日が楽しくて楽しくて。
ああ、このトキメキはきっと、恋。
私は君に、恋しちゃったんだ。
それに気づいてからは、学年集会とか学校行事とか何かあるたびに、自然と君を探していた。
そうして自然と、目で追っていた。