しかくかんけい!
一般庶民の私がここにいるのはすごく場違いな気がしてたまらないけど、ひとまず練習に集中する。
楽譜を広げてフルートを構える。
しん、と静まり返る部屋に、ぽろん、とピアノの音が響く。
その優しい響きに、私の息を重ねる。
……演奏が終わって、愛莉はわあっとため息をもらした。
「すごい、すごいよハナ」
「ほ、ほんと?」
「うん。なんていうか、すごく芯のある、綺麗な音だね」
「うわぁ〜愛莉にそう言われるとすごく嬉しい!」
ぱちぱちと拍手する愛莉に、思わず抱きついちゃう。
暑苦しいよと引き剥がされるも、ふわっと優しそうに微笑んでいた。
「ちょっとお手洗い借りてもいい?」
「案内するよ」
しょーくんが立ち上がるも、愛莉が制する。
「あ、いいよ。ハナと練習しといて」
「そう?えーっと、この部屋出たら突き当りを左、一番奥のドアだよ」
ありがとう、と言って部屋を出ていった。