しかくかんけい!
何も言い返せずにいると、コンコン、とドアをノックする音が聞こえて、ガチャっと開いた。
愛莉が戻ってきて、お手洗いありがとう、と言った。
「お帰り愛莉チャン。じゃ、もう一回練習しよっか」
「あ、うん……」
しょーくんは、何でもないように練習を再開する。
いつもの穏やかで優しい王子様に戻っていた。
……意識しすぎかも。
ただしょーくんは、私をからかって面白がってるんだろうな。
そう気持ちの整理をして、今は練習に集中しよう、と意気込む。
それからは、愛莉から少しアドバイスをもらったり、しょーくんの伴奏をアレンジしたりして、あっという間に時間が過ぎていった。
「本当に送らなくて大丈夫?」
「大丈夫だよ!いつも愛莉と一緒に帰ってるから」
「そっか。じゃあ、気をつけて」
「うんっ、今日はありがとね〜」
門の外から見送るしょーくんに、ばいばーい、と大きく手を振る。