しかくかんけい!
「綺麗な音ね」
あなたにだけ聞こえるように、つぶやく。
「……うん、まっすぐで、綺麗だ」
「私もそう思う。こんなに心が揺さぶられるなんて、音楽って素晴らしい芸術ね」
そうよ。
これは、音楽という芸術。
心揺さぶられて、当然でしょう?
「芸術……そっか、芸術《アート》」
あなたは小さく頷いて、かすれた声をする。
「そら、フリソンしてるの?」
「……かも」
フリソン。
いい音楽とか感動する音楽を聴いたとき、稲妻が走ったようにビビッとしたり、ゾクゾクして鳥肌が立ったりする、あの感覚。
音楽によらず、映画や絵画、劇鑑賞などあらゆる芸術で、それは起こる。
一説によるとそれは、性行為のときに味わう感覚と似ているらしい。
音楽を聴いたときと性行為をするときに刺激される脳部位が同じで、そこから快楽物質《ドーパミン》が分泌されて喜びや幸せを感じる。
「絵を、描きたくなった?」
そう問えば、そらの長いまつげは伏せられて、すぐにまた、起き上がって。