しかくかんけい!
サァーーッと清々しい風が、制服のスカートを揺らす。
その風はまるで、夏を呼んでいるよう。
「二人ともお疲れさま!」
背中に降ってきたそのセリフ。
この声は!と思ってバッと振り返る。
「愛莉〜!」
夏風に呼ばれてやってきた。
出入り口から小走りでこちらへ向かって来る彼女と同様に、私も笑顔で駆け寄る。
その私服姿はいつにも増して大人っぽい。
「はいこれ、がんばったご褒美に」
「えー!いいの?大好きありがとう〜」
冷たい缶ジュースとスイーツの入ったビニール袋を受け取って、愛莉にぎゅーっと抱きついた。
その先に見えたのは、黒い髪に白い肌が映えるコントラスト男子。
「あっ、そらくん!」
「うん。一緒に来たの」
やっぱ一人じゃ寂しいから、と内緒ポーズで言う愛莉。
なんだか可愛いなあ、なんて思いは口に出さずにそっと離れて、予想外の人物の方へ目を向ける。