SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……なんで……」
「だって、ここの芝生たちみんな言ってるよ? 美空がまたおんなじ名前ばっかつぶやいてるって」
「……あ、」
「ねえ、そんなに気になるんだったら会いに行けばいいじゃん。グズグズしてるなんて、ぜんぜん美空らしくないよ」
「……っ、」
あたしは少し言葉に詰まる。
「だめだ!」
起き上がって首を振った。
「なんで? 何がだめなの?」
「……だって、五年だ。あれから五年も……経ってたんだ」
「でも、会いに行ったらきっとその子だって……」
「どんな顔して会えっていうんだ」
「……え?」
「約束、破ったんだ。 無事で帰るって言ったのに、すぐにまた会うって言ったのに。 起きたら五年……ずいぶんこんなに経ってたんだ」
「でも、」
「だめなんだ!」
顔を背けたあたしに、グリムは「はあ〜」とため息をつく。
「……分かった。明日も学校なんだし、もう帰ろう?」
軽く背中を叩いて促した。
「……うん」
あたしはグリムと夜道を歩く。
「明日の学校、楽しいのかなぁ?」
時々話題を変えながら、それぞれの家に帰宅した。