SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「本体は五年前、お前によって消滅したが、それでも全ては消滅しきれなかったみたいだな。 深い怨みの念は周りの念を呼び寄せ増幅し、ミクロ単位で残った皮膚や髪の毛は未だにそいつの意思を引き継いでる……」
「…………」
「気を付けろ。 これで終わりじゃねぇはずだ」
「……え、」
「おそらくは風に紛れてまだどこかに浮遊してるんだろう。 今後も何らかの凶器となりお前に襲いかかるに違いねぇ……」
「…………」
嫌な気分に支配される。
針の後遺症もあるだろうけど、五年前の一番弱気になっていた自分に急に戻ってしまったようで、そわそわと気分が落ち着かない。
「心配するな」
佑影があたしの方を見た。
「あんな低級霊のクズごとき……オレがいくらでも闇に葬ってやる」
「……低級霊のクズって、 さっき佑影だって辛そうだったのに」
「今日は調子が悪かっただけだ」
「うそ。 今だって本当はまだ辛いはず」
「……グダグダ言ってねえで寝てろ! お前の方が体力的にも精神的にも辛いだろうが!」
佑影は“フン!” とあたしから顔をそらす。
でも、あたしはある事が気になって再び口を動かした。
「……ねえ佑影、どうしてさっき、あそこにいたの?」
ピクッと佑影の背中が動いたのを確認する……