SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「やっぱり、グリムの言う通りだったんだね。 あたしのバイト、ずっと様子見ててくれてたの?」


「……っ、」


「あたし、そんなの全然気付かなくて……佑影には、いっぱいいっぱいごめん、悪かった」


少しだけ静かな時間が流れる。


「……ハア〜、」


沈黙の後、佑影は長い溜息を吐き出した。


「丸々それが本当だったら随分格好もついたがな……。 半分は黒木誠に護衛を頼まれていたからだ」


「……え、」


「それに、別にずっとって訳じゃねぇ。 何となく嫌な気配を感じ取った時にのみ……今日に限っては急遽あそこに駆けつけたんだ。 遅れを取ったせいでお前がダメージを……これじゃ護衛失格だな」


「……それでも、佑影はあたしを守ってくれた……」


「当たり前の事をしたまでだ」


「当たり前の事って、自分だってこんなにダメージ受けたのに……。 この間はカミツキガメに噛まれてケガだってしてたのに……」


「ケガは自己責任だ。 油断した……カメは動きがのろいもんだと思っていた」


「……もう! あたしもそう思ってたけど! でもカミツキガメって噛みつくからカミツキガメって言ってるし、あんな怪獣みたいなのがカメでカメが噛みつかない訳がないし……」


「……何を言っている……」
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