SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……ハァ、 ……ハァ、」
あたしはぼんやり湧人を見つめる。
何故か分からないけど、急に気持ちが楽なような、安心感が胸に広がる……
「……それにしても……」
湧人はキョロキョロ部屋を見回した。
「美空? 体温計とか薬とかは……」
「……ハァ、」
あたしは小さく首を振る。
体温計や薬の前に、そもそもこの部屋にはあんまり物が置いてない。
大きな物はこのベッドと洗濯機くらいで、あとはイスもテーブルも、テレビや冷蔵庫、タンスさえまだこの部屋にはないのだ。
服とかは全部ダンボール箱にしまっていた。
「……そっか、」
すると湧人はスッとあたしに背を向ける。
「じゃあ、すぐに戻るからちょっと待ってて」
そう言って歩き出そうとした湧人の制服をあたしはとっさにバッとつかんだ。
「……⁉︎ 美空?」
「……待って湧人……どこ、 行くの……?」
すがるようにあたしは言う。
さっきまであった安心感が急に不安に変わっていく……