SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


「……美空? 起きた? 大丈夫?」


湧人が顔を覗き込んだ。


「……湧人。 あたし……」


「熱、 下がったみたいだね」


額に置かれた湧人の手。

安心したように湧人は“フウ”と息をもらす。


「……湧人。 あれから、ずっといてくれたの?」


時計は午後6時を差している。

窓から見える外の景色がもう薄暗くなっていた。


「当たり前だろ? でも良かった、すぐに熱下がって……薬、 効いたんだね」


「……う、ん……」


言いながらあたしは起き上がる。


「大丈夫?」


湧人が背中に手を添えた。


……あ、れ……


そこで疑問がわいてくる。

あたしの場合、薬はほとんど効かないのに……

ましてあんなタチの悪いものが原因で熱が出たとなれば、こんなにすぐに治るはずがないのに……


……どうして……


そういえば部屋にいた亡霊たちもいつの間にか消えている……
< 139 / 295 >

この作品をシェア

pagetop