SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……美空? 起きた? 大丈夫?」
湧人が顔を覗き込んだ。
「……湧人。 あたし……」
「熱、 下がったみたいだね」
額に置かれた湧人の手。
安心したように湧人は“フウ”と息をもらす。
「……湧人。 あれから、ずっといてくれたの?」
時計は午後6時を差している。
窓から見える外の景色がもう薄暗くなっていた。
「当たり前だろ? でも良かった、すぐに熱下がって……薬、 効いたんだね」
「……う、ん……」
言いながらあたしは起き上がる。
「大丈夫?」
湧人が背中に手を添えた。
……あ、れ……
そこで疑問がわいてくる。
あたしの場合、薬はほとんど効かないのに……
ましてあんなタチの悪いものが原因で熱が出たとなれば、こんなにすぐに治るはずがないのに……
……どうして……
そういえば部屋にいた亡霊たちもいつの間にか消えている……