SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……湧人? どうしたの?」
すると、
「……ごめん。 助けてあげられなくて……」
湧人は声に悔しさを滲ませた。
「……え?」
「美空が大変な時に……肝心な時に助けられないなんて……」
「助かったよ。 元気になったし、熱、ちゃんと下がったもん」
「……そうじゃなくて……」
……?
分からなくて首を傾ける。
そこへスマホに着信がきて、あたしはすぐに電話に出た。
「……もしもし、佑影?」
電話の相手は佑影だった。
あたしの様子を気にしていたのか何度か電話をくれたようだ。
もうすっかり元気になったと伝えると、不思議そうにしながらも、安堵したように電話は切れた。
「……佑影、から……?」
「うん。 昨日はほんとに助かった。佑影がいなかったら、あたし……」
「…………」
「佑影、いつもあたしを助けてくれてたんだ。 あんなに違うって言ってたのに、本当はいつも見守ってて……」
「…………」
「あたしを特別だって、言ってくれた。 そんな事、めったに言うやつじゃないから、なんかうれしくて……」
……?
気付いてあたしは喋るのをやめた。
目の前には儚げな表情を浮かべた湧人が、何も言わず、じっとこっちを見つめている。