SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……え、」
「オレだってずっと美空が好きだった。 オレは美空の特別にはなれない? オレじゃ佑影の代わりにはならない? 満月に一緒にいたいって……佑影以上には思えない……?」
「……湧人……」
……よく、 分からないけど……
「湧人は湧人だ、佑影じゃない。 だから佑影の代わりにはならない」
あたしははっきり口にする。
「……そっか……」
力なく返事をして湧人は腕の力をすっと弱めた。
「湧人、 ごめん」
「いいんだ、 気にしないで……」
「でも、ごめん。 やっぱりあたし……」
「だから、もう……」
「でもっ!」
あたしは後ろを振り返る。
「あたしは湧人を殴れないっ!」
銀の瞳を見つめながら大きな声でそう言った。
「……⁉︎ ……は?」
「だから、あたしは湧人を殴れない! 佑影の代わりにするなんて、 湧人をボコボコにするなんて、 絶対絶対したくない!」
「……美空、 なに言って……」
「湧人はあたしを殴りたいの? いいよ、殴りたいなら殴っても。でもあたしは絶対殴れない!」
「……ちょっ……殴るって何の事⁉︎」
「何の事って満月の事! 満月は佑影と徹底的に殴り合うんだ!」
「……は⁉︎」
「トレーニング! ずっとプラスの反応だったし、それが一番気が紛れる!」
「……っ、美空、ちょっと待って……」
湧人があたしを制止した。
「つまり……満月は佑影と……気を紛らわせる為にトレーニングで殴り合いをしてたって事⁉︎」
確かめるように聞いてくる……