SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


「……今、 幼い湧人が……」


「……幼い?」


「……うん……」


「……幼いって、 オレが?」


「……うん。 あたしには、まだ見えるんだ……」


「……なにそれ……」


急に湧人の声色が変わった。


「ガキだって言いたいの? 佑影の方が考え方が大人だって」


「……もともと、そうだ。 佑影の方がだいぶ大人で……」


「……っ、」


そうこうしているうちに、幻影の方がゆっくり湧人に吸い込まれていく……


「……あ、 幼い湧人……」


みるみるうちに重なる輪郭……

そして、


——ピタ!


今、 幻影と湧人が一つに合体した。

……ああ、やっとそれまであった違和感がなくなる。

今は大きくなった湧人が一人、あたしの前にいるだけだ。

……と、


「……?」


ようやくあたしは気がついた。

すっきりしたような気分のあたしとは逆に、湧人の表情がやけに険しくて悲しげだ……
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