SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……まったく」
グリムが呆れた顔をする。
「これじゃあ何の為に学校に来てるんだか……。佑影の一番の目的は協調性を学ぶ為なのに」
“ 協調性を学ぶ”
それはD.S.Pが佑影に課した特別訓練だった。
佑影は一年後、イギリスの能力組織、“フェノメナ”に加入する事になっている。
特に団体行動とチームプレイを大切にする組織なだけに、人付き合いが苦手で単独行動が多い佑影に少しでも協調性を学ばせようというのが本部の狙いのようだった。
「もう佑影なんかほっとこう? それより美空、昼休み、イケメン王子見に行かない?」
グリムが瞳を輝かせた。
「……イケメン王子?」
「うん! この学校にはね、二人の王子がいるんだって! 一人は三年のスポーツ万能成績優秀生徒会長で、もう一人は二年のクールな超絶美少年! どっちもS組のエリートでファンクラブもあるんだって!」
「……S組の、 エリート……」
この学校には学年ごとにS組という特別クラスが存在していた。
普通クラスのA〜D組とは違い、エリートばかりが集められた特別クラス。
ちなみに、あたしは1年D組だった。
佑影もグリムも、あたしに合わせてD組だ。