SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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——昼休み、屋上。


……う〜ん……


お昼も食べず、あたしは相変わらず教科書たちと睨み合っていた。

でも、


「……はあ〜、」


やっぱり出てしまう重いため息……

あたしはパタンと教科書を閉じた。


……どうしよう……


さっきは意気込んで一番になるとか言ってたのに、今はすっかりその気持ちが薄れている。

ムダに多い漢字ばかりの教科書があたしの気持ちを落ち込ませた。


……もう、 なんなのこの教科書!

絵や写真が少ないし、何が書いてあるのか内容がさっぱり分からない。


……あたしが覚えてるのは……


ふと昔に習った授業内容を思い出す。

あたしが覚えてるのは、光合成とかアオミドロとか、リットルとかデシリットルとか、三角形とか四角形とか……


……はあ〜、


とても明日のテストで一番になれるとは思えない。

仕方ない、ここは諦めてアイツの彼女に……

でも、佑影の時も思ったけど、そもそも彼女ってなんなんだ。

佑影との事を思い出すと、別に友達と変わらないような気がしてる。


ただ一緒にいて、話して……


ダメだったのは他の男に会いに行く事、それだけだ。

なんだ、だったら別に頑張らなくても……


「……!」


すぐにあたしはハッとする。

だめだ、湧人に会えなくなったら、あたし……

思い直して教科書を開く。


「……えっと……」


また漢字だらけの難しい文章を目で追った。
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