SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「——美空?」
それから少しして湧人が屋上へやって来た。
「どうしたの? 今日カフェ来てなかったけど……もしかしてまたお金に困ってる? だったらこれ……」
サンドイッチと飲み物を渡される。
「……ああ、 別にお金には困ってないんだけど、でもありがとう湧——」
思い出してグッと言葉を引っ込める……
「……ありがとう、 “ 橘 先輩 ” 」
言い直しながら、あたしはそれを受け取った。
「……え、」
途端に湧人の顔が曇る……
「……なに、 それ……」
「なにって、 苗字、 橘でしょ?」
「……急に何? 何でそんな呼び方するの?」
「だって」
あたしは三時間目の休み時間の事を思い出す。
同級生の女の子たちに呼び出されたあたしは、湧人とあんまり馴れ馴れしくするな、苗字で呼べ、ちゃんと名前に“先輩”をつけろと言われたのだ。
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「——美空?」
それから少しして湧人が屋上へやって来た。
「どうしたの? 今日カフェ来てなかったけど……もしかしてまたお金に困ってる? だったらこれ……」
サンドイッチと飲み物を渡される。
「……ああ、 別にお金には困ってないんだけど、でもありがとう湧——」
思い出してグッと言葉を引っ込める……
「……ありがとう、 “ 橘 先輩 ” 」
言い直しながら、あたしはそれを受け取った。
「……え、」
途端に湧人の顔が曇る……
「……なに、 それ……」
「なにって、 苗字、 橘でしょ?」
「……急に何? 何でそんな呼び方するの?」
「だって」
あたしは三時間目の休み時間の事を思い出す。
同級生の女の子たちに呼び出されたあたしは、湧人とあんまり馴れ馴れしくするな、苗字で呼べ、ちゃんと名前に“先輩”をつけろと言われたのだ。