SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「……あ〜、 これは……」


「もしかして勉強してたの?」


「うん。 明日テストだし」


「ああ、 そういえばそうだったね」


「……ちなみに聞くんだけど……」


「なに?」


「湧人って、たしか頭良かったよね? 前の合同テストって、何位だったの?」


「……え、 ……ああ、 オレ全然勉強しなくなったし、やる気もなかったし……21位ぐらいだったかな……」


「……ハア〜、」


おもわず大きなため息が出た。


「……なに? どうしたの?」


「ううん。 たいした事じゃないんだけど、明日のテスト、あたしすごく頑張らなきゃいけなくて……」


「……?」


「だから、その……湧人もぜひ、明日だけは、やる気を出して頑張ってみてはくれまいか……」


なんか言葉がおかしくなった。


「……美空……?」


湧人が不審な顔であたしを見ている。

そこへあたしに着信がきて、あたしはすぐに電話に出た。


「……? もしもし? 玉ちゃん? 久しぶり。 ……え? 分かったすぐに行く」


電話の相手は玉ちゃんだった。

玉ちゃんが今の時間、電話してくるのは珍しい。


「湧人。 あたしもう帰る。 玉ちゃんがあたしに急用だって、だから」


「……え、 ああ、 うん。 分かった、 気をつけて……」


あたしは屋上を後にする。

玉ちゃんの所へ急いで向かった……
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