SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
……楽しんでる……?
……いや、 ちがう……
流れ込む黒パーカーの感情に、助けなきゃとあたしは一歩前に踏み出す。
でも、
“……ガッガッ! ガッ! ……ドオッ!”
あたしの出番は全くなかった。
突如黒パーカーが再び攻撃を開始して、男が次々倒れてゆく……
————勝った……
「……ハッ、ハア、」
全てを倒した黒パーカーは鉄の柱に手をついた。
何度か呼吸を整えた後、こらえるように小さく肩を震わせる。
すると、
“……ガンッ! ……ガンッ!”
何を思ったのか頭を柱に打ちつけ始めた。
鈍い音が辺りに響いて、あたしは慌ててそばへ行く。
「やめなよ!」
あたしの声に黒パーカーは動きを止め、ゆっくりこっちに振り返った。
「……⁉︎」
同じく黒パーカーを着たあたしを不思議そうに見つめている。
……あ、
近くで見る黒パーカーの顔は女だった。
傷がなければきれいな大人の女の人……