SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「結愛っ!」


俺は結愛を抱きしめる。

よほど怖かったのか結愛は全身を震わせ泣いている。

俺のせいで結愛が危険な目に遭う事が多くなった。


「……っ、」


こんな事になるのは別に予測出来なかった訳じゃない。

だからこそいつも周囲の動きには目を光らせていたし十分気をつけてもいたはずだ。 それなのに……


どれほどアンテナを張っていても、それでも全てを防ぎきる事は出来なかった。

俺の未熟さが結愛の心と体を傷付けた。


「別れよう」


ある時、俺は結愛にそう言った。

これ以上結愛を傷付けたくない、守りたい、愛するが故の俺の苦渋の選択だ。

嫌だと泣きじゃくる結愛に俺は背を向けた。


何度もキスしたあの路地裏……


すすり泣く結愛の声を聞きながら俺は一人立ち去った。

もう二度と本気で人を好きにならない、そう固く胸に刻みながら……


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