SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「それで、 一体どうしたんだ」
俺は美空に問いただす。
「なんだっけ?」
俺の話より美空はテーブルに置かれた果物のカゴに興味を示している。
「お前がなんで俺の部屋にいる」
「……あ〜、」
美空は視線をぐるりとさせた。
「あのね、 鬼ごっこして迷子になって、 疲れたからここに忍びこんだんだ」
「……っ、なんだそれはっ! ここに来るのは構わないが、俺と一緒に寝る必要はないだろう!」
「必要は……あったよ。 だって夢、 あたしも一緒に見れたもん」
「……は?」
「だいぶうなされてたね。 凌駕、 そんなに苦しかったの?」
俺は少し返答に困る。
「……お前がおかしな事を言うからだろう。 黒パーカーが俺の昔の女とか、連れて来るとか来ないとか……
その後一切の連絡はなし。 どうしたものかと考えて……
つい昔の……嫌な夢を見てしまった……」
話しているうちに動揺がにわかに蘇ってくる。
自分を落ち着かせるように俺は煙草に火をつけた。