SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「あのさぁ、 凌駕って、 いっぱい昔の女がいたんだね。 でも、本当に好きだったのは夢の中の結愛だけだった」


「……は、あ?」


「凌駕の特別。 あたしのとはちょっと違う。 結愛の時は一緒に寝ても怒らなかったし、凌駕の方が一緒に寝たかったみたいだし」


「……なっ、」


「かくしてもダメだよ。 あたしにはちゃんと分かるんだ。 だって……」


美空が右手を開いて俺に見せる。


「しるしがあたしに教えてくれる。 昔の事、凌駕と結愛の事。 二人は一緒にいるべきだって」


「……っ、」


そこには“五”の字に似た赤い印が浮かんでいた。



「そういえば……凌駕、 あたしと初めて会った時、 危険が危険でいっぱいだから関わるなって言ったよね」


「……⁉︎」


「何度もすごく真剣に、それがお前の為だって。 なんでだろうってあの時は思ったけど、その理由が今分かった。 結愛の事があったからなんだね」


「……っ、」


「あれから10年経ったけど、お互い気持ちは離れてない。 結愛はもちろん、凌駕も……

忘れたふりして抑え込んでるけど、今も結愛が好きなはず」


「……っ、」


「あの時とは違うよ。 結愛、強くなったんだ。 タイでムエタイの武者修行したんだって、だから」


「……は?」


「凌駕と一緒にいたいから、だから一人で頑張ったんだ。

もう10年前の守られるだけの女じゃない。

弱い自分を変えたくて、努力して、ちゃんと危険をやっつけられるように、強い女になったんだ」


「…………」


「行こう、凌駕。 結愛のところに」


差し出される右手。
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