SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
……まただ……
なんか胸がドキッとする。
息苦しいというかなんというか、 嫌な感じじゃ全然なくて……
……あえて言うなら、 そうだ……
小さかった湧人にたまに感じてたムズムズ感、
それが形を変えて大きくなって、胸を圧迫してるみたいな……
……変なの……
こんなの五年前にはなかったのに。
「……? どうかした?」
黙り込んだあたしに湧人が顔を覗き込む。
「……あ、ううん別に。 それより、やっぱりこの家大きいね」
あたしはとっさに話を戻した。
「そう?」
「変わった形してるし、 ここらへんは“コ”の字だし」
「オレ的には“コ”の字の造りなのは気に入ってる。 おかげでオレの部屋から美空の様子が分かるしね」
「……え?」
「……あっ、 別に監視とか覗いてる訳じゃないから! ただ、気配を感じて安心するっていうか……
美空、この間バイトで夜遅く帰って来ただろ?
そういう時、部屋の明かりがついたのが見えて、ああ、帰って来たんだなって……無事に帰って来て良かったなって、思って……」
「……?」
そんな話をしていると、やっと玄関に辿り着く。
「「「行ってらっしゃいませ」」」
メイドさんたちに見送られ、あたしと湧人は家を出た。