SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「「だって何だよ?」」


「あ〜、うん。 えっと、」


「なんだよ!」
「はっきりしろよ!」

「ほんとムカつく! アンタみたいなのが王子の視界に入るなんて!」

「王子も王子だよ、こんな性格ブスに瞳を許すなんてさ!」


「……え?」


「知らないの⁉︎  王子はね、瞳を覗き込まれるのが一番嫌いだったんだよ!」

「なのにアンタは! 覗き込んでも嫌な顔一つされなくて、逆に王子がアンタを覗き込んでんじゃん!」


「……?」


……瞳を覗き込まれるのが、 嫌い……?


初めて聞く話にあたしは首を傾ける。


「なんで覗き込まれるのが嫌いなの?」


「知らねえし!」

「つか、こっち先輩だし! さっきからタメ口おかしいだろ!」


「ねえ、なんで?」


「だから知らねえし!」

「ズルいよな、自分ばっか王子にベタベタ触りやがって」


「…………」


あたしは少し考える。

あたしが気付かなかっただけで、本当は湧人、瞳を覗き込まれるのが昔からずっとイヤだったのだろうか……

すると、


「「……キャッ!」」
「「見て! 橘王子!」」


遠くから小さな悲鳴がわき起こる。


……あ。

湧人が長い連絡通路を歩いてる。

友達と何か話しながら、こっちに向かってやってきた。
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