SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「あのさぁ、グリムのはよく分からないんだけど、佑影のはもうとっくにしちゃったよ」
「……え?」
「……あ?」
「キス。 さっきはしなかったけど、かれこれ二度ほどしてるんだ」
「……えええっ⁉︎」
「……な、にっ⁉︎」
「でもさあ、なんでキス、しちゃだめなの? あれはおまじないのキスなのに」
「……へ?」
「……おなじない?」
「五年前、唇がぶつかった時、湧人があたしに言ったんだ。 キスは病気やケガが早く治って元気になるおまじないだって。 だから佑影のは違うと思うんだ」
「「…………」」
何故か沈黙した二人の、顔が妙に引きつっている。
「グリム? 佑影? どうしたの?」
「はあ〜。 こりゃ大変だわ」
「フン! やっぱりまだまだ子供だな」
最後は呆れたように二人は声を重ね合わせた。