SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

◇多忙と不調と不穏な空気

————————————————
————————————————


「……あのっ、ブラウスがっ……下着が透けて見えてますのでお着替えをっ……!」


そう言って衣子が着替えを差し出してくる。


「また? 別に透けてないけど」


「いいえ! 油断なりません! 男はみんな化けの皮を被ったオオカミですから!」


「……え、 ……あ、」


有無を言わさず衣子はあたしを着替えさせた。


ここでの生活にもだいぶ慣れ、あたしには親しいメイドの友達が出来ていた。

彼女は覆囲衣子(おおいきぬこ)

この家に来た時からのあたしの担当メイドさんで、身の周りの世話など、普段の生活のいろいろな事をサポートしてくれている。

他のメイドさんたちが少しあたしに冷たい中、衣子だけは普通にあたしと接してくれる。

でも気になるのが……


「衣子、そんなに着て、暑くないの?」


もう夏だというのに彼女は冬の格好だ。

長袖のメイド服に下は厚手のタイツ、首にはネックウォーマー。
< 217 / 295 >

この作品をシェア

pagetop