SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……来たよ。 でも……」
「なに? どうしたの?」
「今日一緒に行けなくなったって、伝えてくれって」
「……え、」
「なんか、ぶつかって女の子をネンザさせちゃったんだって。そのコを家まで送るからって……」
「ネンザ? ……家まで、送る?」
なんか急に心が重くなる。
「……なんだ、そっか。 約束したのに、行けないんだ……」
あたしはガクッと頭を下げた。
「王子困ってたな〜。 災難だよね〜、ああいうタイプに捕まっちゃうと……」
「……え?」
「そのネンザしたコ、なんかワザとらしいっていうか、あつかましいっていうか……。 ここぞとばかりに王子にベッタリくっついてて……」
……?
よく分からないからESPで探ってみる。
「……のぞみ……」
浮かんできた映像にあたしはぼんやりつぶやいた。
「……美空?」
「グリム、あたし分からない。分からない事ばっかりだ。なんか気持ちがモヤモヤして……」
「……モヤモヤ?」
「分からない、分からない、分からない、分からない……」
「美空、どうしたの? 落ちついて?」
「もう! 分からないから直接あたしが聞きに行く!」
「あっ! 美空!」
いてもたってもいられなくてあたしは湧人を追いかけた。