SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「……大丈夫?」


家に帰ると湧人がケガの手当てをしてくれた。

広い湧人の部屋のリビング。

あたしをふかふかのソファに座らせ、湧人は床に膝をつきながら、丁寧に処置をしてくれる。


「うん。 大丈夫」


あたしは五年前にも湧人がケガの手当てをしてくれた事を思い出しながら、その手際の良さに見とれていた。


「湧人、すごいね。 病院みたい」


「……え?」


「前よりうまくなってる……手当て」


「……別にうまくなりたくないけど……でも、」


「……?」


「……美空、 前に病院は嫌だって言ってたし。 それに、もし黒木さんがいない時に何かあったらって思って……一応、応急手当ての知識だけは頭に入れてたんだ」


「へえ〜、じゃあ安心だね。 ケガしても湧人がいれば——」
「全然安心じゃないから!」


湧人が言葉をさえぎった。


「……え?」


「本当は想像もしたくない……こんな、車にひかれたなんて」


「ちょっと車にひかれただけだ」


「……っ、だからそれがっ!」


包帯を巻き終えた湧人がバッと上を向く。


「……?」


「……ハア〜、」


何かをこらえるようにした後、吐き出される深いため息……


「……これからは十分気をつけて……。 そんなにケガばっかりしてたら大変だろ。 周りも心配するし、オレだって……」


力を落としたような悲しげな表情で湧人は隣に腰を下ろした。
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