SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……ごめん、 あたし……」
「……ん、」
「今日はだって……帰りにカフェって約束したのに、行けないって、だから」
「……え、 ……ああ、 それは……」
「なんか変で学校で視たら、のぞみがわざとぶつかってるし、ネンザじゃないのにネンザでピッタリくっついてるし……」
「…………」
「あたし今日はいろいろあったからそれだけが楽しみだったのに、なくなっちゃって余計に……
だから早く追いかけなきゃって思ったんだ」
「……楽しみに、しててくれたの?」
「うん」
「……そっか。 ごめん、 今日は行けなくなっちゃって」
「ううん、いいんだ。 それは別に今はモヤモヤしないから。 ……でも、思い出すやつの方は、まだいっぱいモヤモヤする」
「……何を思い出してモヤモヤしてるの?」
「あの時、 湧人とのぞみが一緒に歩いてた時のやつ……胸の辺りがモヤモヤする。イヤなものがぐるぐるぐるぐる……
……あんなにぴったり……くっつかなくてもいいじゃないか……」
「……⁉︎」
「だってネンザはウソなんだし。 それに、湧人の隣はあたしっていうか……あたしが、隣に……」
「……それって、 もしかして……嫉妬?」
「嫉妬? よく、分からない」
「…………」
湧人は少し瞳を大きくして、あたしをじっと見つめている。
「……湧人?」
急に訪れた沈黙にあたしは首を傾けた。