SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


「……ごめん、 あたし……」


「……ん、」


「今日はだって……帰りにカフェって約束したのに、行けないって、だから」


「……え、 ……ああ、 それは……」


「なんか変で学校で視たら、のぞみがわざとぶつかってるし、ネンザじゃないのにネンザでピッタリくっついてるし……」


「…………」


「あたし今日はいろいろあったからそれだけが楽しみだったのに、なくなっちゃって余計に……
だから早く追いかけなきゃって思ったんだ」


「……楽しみに、しててくれたの?」


「うん」


「……そっか。 ごめん、 今日は行けなくなっちゃって」


「ううん、いいんだ。 それは別に今はモヤモヤしないから。 ……でも、思い出すやつの方は、まだいっぱいモヤモヤする」


「……何を思い出してモヤモヤしてるの?」


「あの時、 湧人とのぞみが一緒に歩いてた時のやつ……胸の辺りがモヤモヤする。イヤなものがぐるぐるぐるぐる……

……あんなにぴったり……くっつかなくてもいいじゃないか……」


「……⁉︎」


「だってネンザはウソなんだし。 それに、湧人の隣はあたしっていうか……あたしが、隣に……」


「……それって、 もしかして……嫉妬?」


「嫉妬? よく、分からない」


「…………」


湧人は少し瞳を大きくして、あたしをじっと見つめている。


「……湧人?」


急に訪れた沈黙にあたしは首を傾けた。
< 233 / 295 >

この作品をシェア

pagetop