SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……ふぅ、」
やっと家にたどり着き、あたしは部屋の鍵を開ける。
変化といえばあたしもちょっと変化した。
木造の古いアパート。
今、あたしはここで一人暮らしをしている。
時々、夜にアルバイトをしながら、なんとか一人で生活していた。
——バタ。
紫色の絨毯に寝転がる。
天井を見つめていると自然にまぶたが下りてゆく……
——ドンドンドン!
「ミクう〜っ!!」
声が眠気を吹き飛ばした。
——————————————
——————————————
「頼むっ! 考え直してくれっ……なっ!」
やって来たのは黒木。それと、
「……すみません。わたしなりに説得してみたのですが、どうしても行くとおっしゃって……」
眼鏡を押さえ困り顔の一樹。
二人はテーブルもないリビングに座り、あたしと顔を合わせている。
「一体ナニが楽しくてこんなボロのクサれ果てたアパートにぃ……⁉︎ ナア、頼むからもっかい……も〜っかい考え直してくれ! オレとユリの家でまた一緒に暮らせばいいだろぉ〜⁉︎
あん時のマンションより広くはね〜ケド……それだって立派な一軒家だ!
ココよりはず〜っとずう〜っとマシだぜぇ〜⁉︎」
必死に訴える黒木。
あたしは黒木の頭にばかり目がいった。
相変わらずのアフロ。
だけど、頭頂部だけがカッパみたいに光ってる。