SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「じゃあ、 昨日の事は?」
「……え?」
「なんでオレとキスしたの?」
痛々しくも見える儚い瞳……
「……えっと……」
混乱するあたしは急に頭が真っ白になって、うまく言葉を探せない……
「……それも、 かわいそう……だったから……?」
なんとなく出たそんな言葉に湧人の顔はこわばった。
「……なにそれ、 同情?」
「……?」
「美空はずっとオレをかわいそうな奴だと思ってたの? 片思いしてるオレが?」
今度は怒りの表情が混じる湧人にあたしはますます混乱する。
「……なに? 分からない。どうしたの湧人?」
……昨日はあたしがかわいそうじゃなかったの……?
ケガしたあたしをかわいそうって湧人が、 だから……
「…………」
「……ねえ、」
「もういい」
湧人がふいっと顔をそむけた。
「……ゆう、と?」
「……ハア、」
ため息の後、湧人は遠くに視線を向ける。
「……美空。 オレは美空が好きだよ。 ……けど、 今は顔も見たくない」
そう言うとそのまま歩いて行ってしまった。
「……湧人……?」
あたしは何も分からずに、
ただ小さくなっていく湧人の後ろ姿を見つめていた。