SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「…………」
空はどんよりと曇っていた。
まるで今のあたしの心の中みたいだ。
明るさも、楽しさも、穏やかな気持ちも塞がれて、どうしたらいいか分からない……
……なんで……
……ねえ、 なんで……
「……わからない。 どうしてこんなに胸が痛くて苦しいの?」
つぶやき声が風にきえる……
『それはあなたが恋をしているからですよ』
————!
突然の声にあたしはバッと後ろを振り向いた。
……えっ……⁉︎
「……いつ、き……?」
そこにいたのは一樹だった。
でも、なんだか少し様子がおかしい。
現実味がないというか、映像みたいというか、体の端っこが少し透けてしまっている。
「一樹、だよね? どうしてここに……体が……本物の一樹じゃ、ないの?」
『ええ。これはわたしが最近新たに身につけた能力です。遠距離会話を応用し、幻覚として他人の精神に接触出来る……まだ完全ではない試験段階なのですが……』
「……よく、分からないけど、すごいね。 一樹はどんどんすごくなるね」
『そんな事はありませんよ。 わたしよりあなたの方がよっぽどすごいと思いますよ』
「あたしが? なんで?」
『日々、いろいろな事を学ばれてるではありませんか。 辛い事も苦しい事もある中で、逃げ出さずにきちんと向かい合っている。 懸命な事です』
「……うん……」
よく分からないけど、とりあえずあたしは返事する。
『……しかし、 今は心が挫けていますね』
見透かしたように一樹はあたしの顔を覗き込んだ。
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「…………」
空はどんよりと曇っていた。
まるで今のあたしの心の中みたいだ。
明るさも、楽しさも、穏やかな気持ちも塞がれて、どうしたらいいか分からない……
……なんで……
……ねえ、 なんで……
「……わからない。 どうしてこんなに胸が痛くて苦しいの?」
つぶやき声が風にきえる……
『それはあなたが恋をしているからですよ』
————!
突然の声にあたしはバッと後ろを振り向いた。
……えっ……⁉︎
「……いつ、き……?」
そこにいたのは一樹だった。
でも、なんだか少し様子がおかしい。
現実味がないというか、映像みたいというか、体の端っこが少し透けてしまっている。
「一樹、だよね? どうしてここに……体が……本物の一樹じゃ、ないの?」
『ええ。これはわたしが最近新たに身につけた能力です。遠距離会話を応用し、幻覚として他人の精神に接触出来る……まだ完全ではない試験段階なのですが……』
「……よく、分からないけど、すごいね。 一樹はどんどんすごくなるね」
『そんな事はありませんよ。 わたしよりあなたの方がよっぽどすごいと思いますよ』
「あたしが? なんで?」
『日々、いろいろな事を学ばれてるではありませんか。 辛い事も苦しい事もある中で、逃げ出さずにきちんと向かい合っている。 懸命な事です』
「……うん……」
よく分からないけど、とりあえずあたしは返事する。
『……しかし、 今は心が挫けていますね』
見透かしたように一樹はあたしの顔を覗き込んだ。