SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……え、」
『どうしてこんなに胸が痛くて苦しいの……』
「……あ、」
『すみません、先ほど偶然耳にしましたので……というより打ち明けますと、もうそろそろ助けが必要ではないかと様子を伺っておりました』
「……え?」
『もう一度言います。 胸が痛くて苦しいのは、あなたが湧人くんに恋をしているからなのですよ』
「……恋……」
……湧人に、 恋……
今まで何度か恋という言葉は聞いてきた。
だけど……
『ええ。 あなたは恋というものがどういうものか、まだそれがしっくりきていない。故に戸惑いの方が大きく今は深みにはまっていますね』
「……⁉︎」
『まったく、見守る方も大変です。もどかしいと言いますか……あなたを見ていると本当に。
しかし、こればかりは仕方ありません。 自分で答えを見つけさせる、わたしはその為の手助けをする……
それが昔交わした、あの方との約束でしたので』
「……え?」
どこか物悲しい顔をして一樹はふっと目を細める。
風が急に強く吹いてあたしの髪を散らしていった。