SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
『例えば最近で言いますと…………ハア〜、』
あたしの頭に人差し指を当てた一樹が、何か記憶を探った後、大きなため息を吐いている。
『……そう、ですか……』
眼鏡をクッと押さえながらそのまま少し黙り込んだ。
「一樹? どうしたの?」
『……ああ、 いえ……』
「……一樹?」
すると一樹はじっとあたしの顔を見る。
真剣な表情を浮かべたまま、また話を再開した。
『美空。 決定的な違いを知る良い方法があります』
「……良い、方法?」
『ええ、もう何度か経験しているようですが……今度は意識してちゃんと違いを確かめてほしい……』
そう言うと一樹はあたしを引き寄せる。
軽くあごに手を添えて少し上を向かせると……
——っ⁉︎
そのまま、あたしにキスをした。
「……っ、」
幻覚のはずの一樹なのにやけにリアルなその感触……
唇の質感も温もりも感じられて、あたしは少し動揺する。