SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
『……いかがですか?』
キスの後、一樹があたしに聞いてくる。
「……え、」
『驚きはしたようですけど……あまりドキドキはしていませんよね』
「……⁉︎」
……たし、 かに……
湧人の時はドキドキしたし、頭がすごくぼーっとなって、時間が止まったような、何も考えられなかったのに……
今はちゃんと冷静になれるあたしがいる……
『その感情が全てです。 わたしや他の誰でもない、湧人くんにだけあなたは心を揺さぶられる……
それはすなわち、湧人くんがあなたにとって特別な存在だという事です』
「……特別な、 存在……」
その瞬間、何かがストンと胸に落ちた。
頭のモヤがなくなったような、清々しいけれど、心はどしりと構えた重みがある。
「……そうか。 あたし、 湧人に恋、 してるんだ……」
あたしの言葉に一樹はコクリと頷いた。
その顔は優しくふんわり微笑んでいる。
『……さて、まずは第一段階クリアですかね。 これより先は、またあなたがこなしていくべき課題です』
「……え?」
『とことんまで問題に向き合うのです。 自分がどうしたいのか、どうするべきか、自分の気持ちに正直に……
美空の素直な気持ちはきっと彼に伝わりますし、彼も受け止めてくれるはずです』
「……向き合う……?」
……どうしたいのか……?
……どうするべきか……?
首をひねるあたしに一樹はコクンとまた頷く。
そうこうしているうちに、一樹の体がだんだん端から消えてきた。