SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
……いや、 正確には急にじゃない……
昨日、美空がずぶ濡れで家に帰ってきた時から何か様子がおかしかった。
……風邪でもひいたのか……
こんな時でもオレは気になって、メイドに様子を見てきて欲しいと頼んだ。
完全には拒否しきれない素直な気持ちが動く……
自分自身驚いた。
それでも頑なな部分は消せずに……
夜中バッタリ鉢合わせてもオレはそれまでの態度を変えなかった。
てっきりいつものように話しかけてくると思ったのに……
美空は何も言わずに通り過ぎた。
オレは少し困惑しながら部屋に戻った。
「…………」
……どういう意味だろう……
今朝の美空の言葉を思い出す。
暗く沈んだ声と思い詰めた表情が今頃になってやけに気になりだしてくる。
……悲しそうな美空の顔……
「…………」
……オレの、 せい……?
……オレが冷たくしすぎたせい、か……
いくら心が拒否していたとはいえ、これまでの自分の行動は行き過ぎていたのかもしれない。そんな事に今更気が付く。
……美空を、 傷つけた……
……オレが、 美空を……
ズキリと胸に痛みが走る。
今までなら考えられないような、そんな信じられない事が事実として起きているのだと頭がゆっくり理解してゆく……
「……ハア、」
また、立ち止まって空を見上げた。