SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……オレ、 ガキ……」
ここにきてやっと自分の事が客観的に見えてくる。
今思えばだいぶ大人げなかったと思う。
そもそも、オレが勝手に美空の気持ちを勘違いしたのだ。
自分に都合良く解釈して、そのせいでその後の行動にイラついて……
「……ほんと、 ガキ……」
なんて小さい人間だろう。
勝手に腹を立て、言う事に耳を貸さず、自分の気持ちばかり優先して……
美空の言葉を、行動を、オレはずっと無視してた……
……何やってるんだ、 オレ……
ただでさえ美空は不器用で、喋るのがあまり得意じゃないのに。
……!
そうだ、 未だに美空は的確に言葉を使えない。
もし、あの時も、何か言葉を間違えていたとしたら……
「……ハア、」
そんな初歩的な事にも頭が回らなかった。
……本当、 何やってるんだ、 オレ……
美空の事になるとまったく冷静じゃいられない。
「…………」
改めて今の現状を振り返る……
……だめだろ、 このままじゃ……
わき立つ思い……
何の為の同居だったのかを自分自身に問いただす。
側にいれば美空に寄り添える、話を聞ける、手助けが出来る……
その為の同居じゃなかったのか……
それなのに、美空を傷つけて……
「……だめだろ……」
……話さなきゃ……
……もう一度、 ちゃんと……
すでに胸の真ん中に居座っていた淀んだ気持ちはなくなっていて、今は美空と話したい、話を聞きたい、その思いだけが強くある。
……と、
「…………」
小さな店舗が目に入った。
それは出来たばかりのチョコレートの専門店。
話のきっかけに——、
オレは迷わず店に飛び込んで一つ選んで買って帰る。
喜ぶ美空を想像する。
はやる気持ちを抑えながらオレは家へと足早に帰った。