SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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——ガチャ、


「……っ、湧人さまっ！」


玄関のドアを開けると、一人のメイドの泣き顔が瞬時に目に飛び込んでくる。

驚くと同時に警戒する。

ただ事ではない空気が嫌なものを想像させ、次の瞬間——


「美空さまがっ……出て行かれましたっ！」


その言葉にオレの頭はフリーズした。

一体何を言っているのか、すぐには状況が理解できない。


「止めたのですがすみませんっ！　美空さま、どうしても出て行くと……その、信じられないくらいすごいお力で振り払われ、わたくしではどうしても止める事が出来ませんでしたっ！」


付け加えられる言葉がだんだんリアルな事として頭の中に入ってくる。


……出て行った……？


……美空、 が…………


持っていた紙袋がするりと落ちて小さな音を響かせる。


「……っ、」


瞬間、オレは走り出していた。
急いで美空の部屋へと飛び込んでゆく……


「美空っ……美空っ！」


片付けられた部屋に動揺しながら部屋の中をくまなく探す。


「……美空っ！」


呼んでも返事は返ってこない。


……そんなっ、


……嘘だろっ、 こんなっ……


そこへさっきのメイドが現れてオレの前にひざまづいた。
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