SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「…………」


どのくらい時間が経っただろう……

オレは屋上のフェンスに寄りかかりながら、さっきから呆然と出入り口の方を気にしている。

来るはずがないと分かっていても、どこか期待している自分がいて、何でもないようにオレに会いにくる美空の姿を想像した。


……はあ、


やるせない思いと後悔とが膨らんで体が押しつぶされそうだ。

こんな事なら最初から何も望まなければ良かった。

友達以上になりたいと欲を抱いたばっかりに……



そう、もう十分だったはずだ。


——“美空は死んだ”


あの時そう聞かされてからオレはずっと美空が恋しくて、会いたくて会いたくてたまらなくて……

もう一度だけでいい、ひと目だけでも美空に会いたいと、そればかりを願っていた。

奇跡的にそれが叶って、願い以上に一緒にいる時間を持つ事が出来て、一緒に暮らせて……

十分すぎるほど幸せだったはずなのに……

どうしてオレはそれ以上を望んでしまったのだろう……


「……っ、」


まるで刃物でも突き立てられたように胸がグッと痛くなる。

頭を抱え、オレはその場に座り込んだ……。
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