SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「……っ、」
「……なに? またどっか行く気?」
「……ちょっ、 湧人っ……」
「もうイヤなんだそういうのっ! 突然いなくなるなんてっ……」
「……くる、しっ……」
「嫌だ! 絶対離さない! そんな事されるぐらいならオレはっ……もうずっとこのままっ……美空をっ……!」
「……ううっ……苦しい……」
「……⁉︎ ……えっ……」
ようやく気付いたのか湧人がやっと力を弱める。
「ごめんっ! オレっ……」
「……ハア〜、」
胸に空いた隙間の部分であたしは大きく深呼吸した。
「……ごめん……」
申し訳なさそうな顔……
少し落ち着いたようにも見えるけど、それでもまだその手はあたしを離さない……
「ううん、いいけど。 ……でも、どうしたの急に……」
「……え?」
「分からないから戸惑ってるんだ。 湧人はあたしが大丈夫なの?」
「……大丈夫って……?」
「だって、あたし嫌われてた。 顔も見たくないって……」
「……っ、違うっ! あれはっ……!」
「……?」
「……オレが誤解してたんだ……だから違う。嫌いになんてなる訳……」
「……?」
「……酷いこと言ってごめん……ほんと後悔してるんだ……」
……う〜ん……?
「湧人が大丈夫なら……いいんだけど。 あたし、やっぱり気まずかったし。 できたら直接、渡したかったし……」
「……え?」
首を傾げる湧人の前、あたしはポケットからあるものを取り出す。
「はい」
それを湧人の胸に押しつけた。