SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


「……なに?」


「いいからあげる! 受け取って!」


「……?」


不審そうにしながらも湧人はそれを受け取る。

そこでようやく腕の拘束が解かれて、あたしは少しだけ湧人と距離を取った。


「あっ、美空っ!」

「ここにいるから」


そう言っても湧人は警戒の目を緩めない。


「逃げないから。それより、早く見て?」


しばらくこちらの様子を伺った後、ようやく湧人の視線が包みに移る。

何度かあたしと包みに視線を往復させながら、湧人は中身を確認した。


「——っ!」


見た瞬間、湧人の視線がソレに貼りつく。


「……はっ⁉︎ ……えっ、これっ……」


「レッドコーサキャンベルだ」


「……っ、レッドコーサキャンベル⁉︎ ……嘘だろっ……レッドコーサキャンベルは幻の中の幻の宝石でっ……本当は存在すらしないんじゃないかって言われてて……」


「存在した。スリランカにあった。あたしの探査能力で、いっぱいいっぱい探しまくった」


「……っ、ありえない、そんな……って、スリランカ⁉︎ スリランカに行ってたの⁉︎」


驚きと困惑の表情を浮かべながら、また湧人の視線があたしと宝石とを往復する。


「……だって、どうしても湧人に渡したかったから……」


その、周りだけが透明で中が赤すぎない、オレンジ色にも近い宝石を見つめながら、あたしは思いを口にした。
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