SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「……え、」


「思い出したんだ、五年前の事。湧人、昔からそういう石が大好きで……よく石の話、聞かせてくれたよね。いろんな石も集めてたし……でも、一つだけどうしても手に入らない石があるんだって……いつも悔しそうにしてた」


「……あ、」


「それがレッドコーサキャンベルだ。もしそれが手に入ったら、湧人はすごく嬉しいって……幸せだって、言ってたから……」


「……み、く……」


「あたし、湧人には幸せでいてほしいんだ。あたしのせいで湧人を悲しませたくない」


「美空っ、オレは——」
「湧人の事が好きなんだ」


「——⁉︎」


一瞬時が停止する。

驚いたように目を見開く湧人。

そんな湧人を前に、あたしはもう、わき立つような感情の高ぶりを抑える事が出来なかった。
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